秋★枝『純真ミラクル100%』1巻

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

 純真無垢な天然系新人アイドル・モクソン(本名:木村綾乃)と、彼女が微妙に想いを寄せるマネージャー、その彼が想いを寄せる芸能事務所の女所長、人間関係入り乱れての芸能界ラブコメ

 ――と書くとドロドロっぽいですが、モクソンがあんまりにもピュアなものですから全てはぽややんきらきらと善意へと中和されてしまうのでありました。おぼこいのう、モクソン。じつにおぼこい。そのおぼこさが実に可愛くて眩しくて、そして笑えます。

 モクソンの純真さに苛つきながらも、彼女の困った様をみることに快感を覚える女所長。あの手この手でモクソンを困らせようとする所長のサドっ気と、それを凌駕してしまうモクソンのピュアさ。所長がヒドいことしようとすればするほどモクソンが輝いてしまうというこの二つの噛み合わなさが生み出す喜劇を中心に物語は展開。
 綺麗な顔して相当に歪んでいる所長も変態的で素敵ですが、それをものともしないモクソンの完全無欠の無垢さが頼もしいような恐ろしいような。
 そして、むちむちと油断気味なモクソンのおなかの肉とかマニアックで大変に素敵であります。

 そんな喜劇もいつしか所長の過去の恋愛や、マネージャーの所長に対するストレートな恋情、モクソンに芽生えたマネージャーへの想いなどが絡まり合って微妙に泥沼な三角関係ラブストーリーに。マネージャーはモクソンに所長ラブ宣言をしているし、所長はそんなことにちっとも気がつかないニブチンだし、モクソンはマネージャーの気持ちを知っているし、でやきもきするような前に進めない恋模様が展開。そんな中でもモクソンのピュアさが物語りの手触りを可愛く優しいものにしております。優しくて、ちょっと変で、恋に慣れていないモクソンの言動は実に心くすぐられるものが。周囲の人に癒しと笑いを与える彼女だけに、恋に悩んで時折見せる切ない表情がまたグっと来ます。
 
 モクソンの純情さ故にキュンとしちゃう微妙な三角関係の物語でありますが、それを微妙にズラしてくるのもまたモクソンのピュア過ぎる性格であります。この奇妙で微妙な恋の物語、ラブとコメの間で揺れながらどう展開するかに非常に気になります。