「チャンピオンRED」08年10月号

チャンピオン RED (レッド) 2008年 10月号 [雑誌]

チャンピオン RED (レッド) 2008年 10月号 [雑誌]

納都花丸「ジェノサイド・プリンセス」第1話:エクステラ

 魔法が文明の基礎となっている異世界に迷い込んでしまった主人公。非力ながらも魔力が無いため魔法の干渉を一歳受けない、という特殊な存在の主人公と、強大な魔力で容赦なく敵対者をぶっ殺しまくるお姫さまのボーイミーツガール。
 拘束衣に全身を包まれたお姫さまというのは新しいですが、自信家の彼女が主人公に自分の力が通じなくて地を見せてしまう辺りはお約束ながらも可愛らしいなあ、と。軟弱な主人公との出会いが猛々しいお姫さまにどのような影響を与えるのでありましょうか。

藤見泰高/カミムラ晋作ベクター・ケースファイル」Act.20:スタグ・エンプレス

 稲穂さんが久しぶりに甲虫バトル、と「サイカチ」的なエピソードでありました。マフィアにまで名前が知れ渡っている稲穂さん。
 それにしても全裸で鎖とギャグを噛まされて檻の中に拘束されていた紅蘭のページは一体どこのエロ漫画かと。

山西正則「ちょっと怪しい黒森さん家」(読み切り)

 高校入学を機に一人暮らしを始めようとする女の子。暗い中学時代を送ってきた彼女は高校デビューを果たそうと、まずは下宿先の女の子二人と仲良くなろうと試みるが――
 主人公の女の子も今までが今までなので空転しておりますが、下宿先の女の子達もこれまたエキセントリックなため、三人の間で醸される噛み合わない空気がユーモラス。
 主人公が必死なだけ滑稽さが増しておりまして、それが何だか可愛らしい。

木々津克久フランケン・ふらん」Ep.18:TRIVIAL LOVE

 殺しても殺しても何度も襲ってくる敵との戦いの中でヴェロニカに芽生えた不思議な感情。しかしお相手は戦いとは別のところで安らぎを見出していて――
 そんな甘酸っぱいヴェロニカの淡い恋のエピソード(?)。ふらんちゃんの人倫を超越した態度は毎回素晴らしいですな。

二ノ瀬泰徳「絵画の剣帝」(読み切り)

 「男の娘」で「触手」で武装な衣装と、今までの作品でも繰り返し描かれてきた要素を再度突き詰める形で描いております。触手度は抑えめで弱さを抱える主人公がそれを乗り越えるドラマが主題。抑えめ、とはいっても拘りの描写なのですが。
 しかしまあ、もはや執念ともいうべきこの触手や男の娘へのこだわりは凄みさえ感じさせます。是非もっと突き詰めて突き抜けた作品を世に送り出して欲しいですわね。