カトウコトノ『将国のアルタイル』2巻
- 作者: カトウコトノ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: コミック
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砦の町を開放し、友人のイブラヒムを救うことに何とか成功したものの、将軍にふさわしくない行動をしたと判断され、将軍から降格されてしまったマフムート。将軍を務めるにふさわしい人間になるため、新たな歩みを踏み出す彼の姿を描く第2巻。
物語は緊張感の高まる二大国家間の間の物語から、マフムート個人の成長の物語へ一旦移行。将軍という立場の重さと自らの未熟さを思い知り、様々な経験と人々との出会いによって見聞を広めることを自らに科したマフムートと、彼が市井で出会う事件の数々。
そして、マフムートと同郷の男・スレイマン。先の戦争でマフムートと同様の経験し、自分の生き方を決めたこの兄貴分とも言える男との出会いによって、マフムートは自らの進むべき方向性をはっきりと固めます。
青い正義感で動いていた彼が、今まで知らなかった事を知り、経験を積むことで少しずつ成長していく様が非常に丁寧に描かれており、加えて、二大国間で戦争が今にも始まりそうという緊張した状況が「戦争を起こしたくない」というマフムートに一層の真剣さを与えていて物語を引き締めます。
そしてやっぱり感心させられるのが繊細な線で描かれたエキゾティシズム溢れる人物や背景。民間劇団が演目に採るのは話題の人物・事件である、などの細かいながらも歴史的事実に基づいた描写も世界にリアリティを与えております。
やがて起るであろう戦争を前にして、英雄誕生の前夜、といった感のあるこのマフムートの物語。彼の成長課程のエピソードやエイキゾティックな世界は大変に魅力的。いやもう、非常にお勧めの一作であります。
- 前巻感想:『将国のアルタイル』1巻