渡辺航『弱虫ペダル』2巻

弱虫ペダル 2 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 2 (少年チャンピオン・コミックス)

 今泉との勝負で競技・勝負としての自転車に接する人間を知った小野田。そして小野田が出会ったもう一人の自転車野郎・鳴子章吉。熱く自転車を愛する彼との出会いが小野田をさらなる自転車の道に引き込んでいく――。

 自転車を介したロードレーサー達との出会いによって、はじめ特に意識もせず単なる道具でしかなかった自転車に対して、その魅力に目覚めていく小野田。
 日々の自転車生活によって潜在的に高まっていた才能が開花していく様子と同時に、自転車に乗るということの魅力を改めて発見し、そこに向かって突っ走っていく姿が気持ち良く、少年の成長譚かくあれかし、というようなすがすがしさがあります。小野田が引っ込み思案なおたく少年であるから尚更に。
 普段の大人しげな表情に反して、少しずつ決意を固めていく際に見せる小野田の引き締まった表情がまた大変に良いですね。
 その小野田のポテンシャルを引き出すライバルであり友人となった鳴子の、小野田や今泉と好対照をなすキャラ付けも楽しい。

 2巻の後半で自転車競技部に入る、という決断を下した小野田。クールな今泉や暑苦しい鳴子といった個性豊かなライバルの他、クセのありそうな先輩方がどう話を盛り上げてくるのかも興味深いところであります。