田口雅之/小池倫太郎『ブラック・ジョーク』1巻

ブラック・ジョーク 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

ブラック・ジョーク 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

 東京湾に浮かぶネオン島。金や色といった欲望が詰まったその島にある「TD温泉ホテル」で展開するマフィア達の戦いを描くバイオレンス・アクション。

 主役となるのは優男風の吉良潔と、その相棒で木訥な小玉童示のコンビ。
 女を口説く手管も鮮やか、仕事はもっと鮮やかという吉良、敵を肉塊にしてしまう戦闘力を持ちながら、頭の回転がゆっくりな小玉。性格も見た目も全く対照的な凸凹コンビのやりとりが過剰でユーモラスで、大変に愛嬌があります。

 そんな二人がマフィアの構成員として携わる「仕事」のお相手がこれまたインパクト抜群。
 香水過剰のホモい殺し屋コンビ、女狐美人ディーラー、車椅子で曲芸的な殺しをやってのけるマフィアのボス、ヤクザよりワルな警官、美人暗殺者――などなど。どいつもこいつも笑っちゃうくらいアクの強いキャラづけがされていて、主役二人を凌ぐ濃さを発揮しております。田口先生の濃いぃ絵がまたそれに拍車を掛けていて、いや、実に素晴らしい脂っこさであります。特に車椅子のボス「ランオーバー」の車椅子空中殺法は必見。ギミック満載の車椅子とその挙動にときめいてしまいます。

 裏社会の抗争を描いていますが、権力争の物語ではなくて、アウトローな世界の中で強烈なインパクトを与える人物達と、それらと出会った吉良・小玉の体験記といった感じ。その凸凹コンビも相当なインパクトを持っているのですが。
 バイオレンスなのに実にユーモラスな作品。いやー、この濃さは素敵です。