いけだたかし『ささめきこと』3巻
- 作者: いけだたかし
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/09/22
- メディア: コミック
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「好き」と「友達」の間の微妙な距離で揺れる純夏と汐。体育祭・文化祭といったイベントを経て、またちょっと微妙に二人の気持ちの共通部分が増えてきた――というところで、汐好みのちっちゃくてかわいいドイツから来た女の子、ロッテの登場でまた一波乱が。
空手を教えることでロッテを汐から遠ざけようとしていた純夏が、逆に全てが裏目に出て、却って自分を汐から遠ざけることになってしまうのが実に切ない。
好意を寄せる相手の理想像と実際の自分の姿との乖離、自分の想いと相手の気持ちのギャップ、それらのことから静かに蓄積していた哀しみが、ふとしたきっかけで堰を切ったように激しい感情の奔流として溢れてしまう場面は何とも痛ましい。悩み多くとも汐の前では良き友人であり続けてきた純夏なだけにそれは一層いたたまれない場面であります。
そんな波乱を乗り越えて仲直りをした後の、純夏が転げ回る幸せで甘い状況の到来、そして何か二人の関係が決定的に変わったと想われる次への惹き、いやもう、実に目が離せません。
しかしまあ、汐の行動一つ一つに対して、過剰なまでに反応してしまう純夏は実に可愛らしいですな。強いのに実にデリケートで。