「ヤングキングアワーズ」08年11月号

YOUNGKING OURS (ヤングキングアワーズ) 2008年 11月号 [雑誌]

YOUNGKING OURS (ヤングキングアワーズ) 2008年 11月号 [雑誌]

水上悟志惑星のさみだれ」第42話:雨宮夕日と東雲兄弟・2

 巻頭カラーで今までのあらすじ、って実は珍しい使い方ではありますまいか。 そんなすっとぼけたカラーの使い方もまたこの作品らしいのではありますが。
 姫様とのデートを賭けて戦う夕日と三日月。泥人形との激戦を終えて一時の休息――といった感じのエピソードでありますが、そこに描かれるのは夕日にとっては師匠、三日月にとっては尊敬する兄であった東雲半月という存在への追憶。今は亡きこの大きな存在を成長の一過程で通り過ぎた重要人物としてだけ扱うのではなく、物語の中の時間が経った後で改めて血肉を備えた登場人物にとって「大切な人」としてこうやって描くのは心に迫るものがありました。
 しかし、夕日も三日月もいい男に成長しましたなあ。

平野耕太「HELLDING」最終話:ROMANCIA

 全てを終えて日常に戻ったキャラ達のその後を描く後日談。それぞれの年月を経た姿を描きつつ、愉快にでもどこか寂寥感を漂わせつつきれいに締め。にしても他作品のあの人がとんでもない役どころで出てきて大ビックリ。実に「らしい」最終回でありました。新作も来年から始まるそうで、そちらも楽しみに待っておりましょう。

石黒正数それでも町は廻っている」#45:学校迷宮案内(前編)

 壁新聞の記事として学校の七不思議を調べることになった嵐山弟。あほらしさとミステリ的香りの微妙なマッチングが味であります。

谷川史子「清々と」(新連載)

 「アワーズプラス」の時は周囲の作品と一緒に雑誌の空気を清々しくしておりましたが、「アワーズ」に来るとすごい空気の違う谷川先生。色々見られるのが雑誌の醍醐味だからうれしいですけれども。
 淡々とした思春期の女の子の悩みと希望を実に可愛らしく描いていて、いいなあ。