滝沢聖峰『安部窪教授の理不尽な講義』2巻

安部窪教授の理不尽な講義 2 (ビッグコミックススペシャル)

安部窪教授の理不尽な講義 2 (ビッグコミックススペシャル)

 滝沢聖峰先生の作品といえば戦記物が有名ではありますが、それ以外にも一翼を為すのがオカルトもの。
 本作は世の中に存在する「不思議」な物事を魁偉な大学教授・安部窪太がバッサバッサと切っていく様を描いたシリーズであります。

 学校に現れた「亡霊」、学生主催の似非新興宗教、謎の化け物絵巻といった身の回りにありそうな不思議を含んだ事件から、平行世界への干渉、高次元の存在のようなSF的にぶっ飛んだエピソードまで。
 程度の差がありますが、どんな事柄であっても、学究の徒である姿勢を貫く意志の強さと、尊大で自信みなぎる態度を崩さない安部窪教授の強烈なキャラクターが実にユニークであります。宇宙の超存在の最後の審判を前に一歩も引かないのですから大変なものであります。

 しかし、本作が特徴的でありますのは、教授が不思議をばっさりと斬ったあとでも、それで綺麗に終わってしまわないこと。一応の解が与えられても、その解を飲み込んで不思議はなお不思議としてあり続けるというエンディングは、時に滑稽、時に不気味、時に哀愁を帯びたりと様々な余韻を物語に残します。
 この不思議は不思議としてあるんだもの、という姿勢と、そんな不思議にガチンコで挑む安部窪教授の格好良さと滑稽さが魅力でありましょう。