高崎ゆうき『桃色シンドローム』3巻

桃色シンドローム (3) (まんがタイムKRコミックス)

桃色シンドローム (3) (まんがタイムKRコミックス)

 これだけ可愛らしくて柔らかな線なのに、中身のカッ飛んだ変態っぷりったら。相変わらずスミヤの口先に乗せられていいように痴態(?)を晒す羽目になる女の子3人。
 とまあ、斯くも愉快に賑やかに、そして明るく変態的なえっちコントを繰り返していくわけですが、その中に混じる一遍の不安が、この作品は単なるハーレム的ドタバタではないのではないか、と常に囁きます。

 モモやナツナが本来は戦闘兵器であること、その存在意義を失った彼女のためにスミヤが「魔法少女」という仮初めアイデンティティを与えたこと、そして時折キャラクターが漏らす諦観を含んだ認識論的モノローグ等々。これらの不確かなものたちの上に築かれた今のおバカで楽しい生活は、泡沫無限なのではないか――という不安は、微かな、しかし拭いきれないものとして存在しております。この賑やかな日常はいつかパタリと突然の終わり迎える、そんな予感が。

 モモ達を見守るスミヤが、変態的であってもリビドーはほぼゼロに近い(女の子に手を出す気配すらない)、という点も何だか超越者的でその感じを一層強く受けます。いや、単に大変態なだけなのかもしれませんが。


 ともあれ。
 猫がスカートの中に頭を突っ込んでペロペロされちゃって困っちゃう」的なネタは、普通なら微笑ましいサービスエピソードで終わるところですが、こだわりの「はいてない」描写が随所に見られるこの作品の中で行われますと、何というか大変にアブないネタになってしまいますわね。