山田芳裕『へうげもの』(4)
天下は信長から、秀吉の手に。
それに伴って、左吉は遂に「織部」の官職を手に入れ「数寄の天下取り」を宣言するのでありました。
いやあ、面白い。相変わらず、なんと面白い作品でありましょうか。
天下の趨勢が移り変わり、侘びに目覚めた左吉。
かつての己の名物好み一辺倒を顧みて赤面する様や、己の妻の乳首をモチーフに焼き物を作らせたり、「織部」を「OLIVE」から採るなど、いちいち素晴らしい。
そして今回も冴え渡る顔芸。
織部以外の登場人物たちの描写も振るっております。
己の美意識のため帝の毒殺すら口にする千宗易。
眉すら無いのぺえっとした顔の三成。
権力のために己の人間性をねじ伏せようとする秀吉。
その解釈の大胆さと自由さには舌を巻くばかり。
「OLIVE」=「織部」の名を手に入れ、いよいよその数寄に磨きをかけ、美を追いかける立場から、己の美を創り出して行く立場になった織部。今後の彼を、そして歴史をどのように描いていくかが楽しみでなりません。
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