柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』2巻
「アキバの受け師」との出会いにより、本格的に真剣師としての道を歩むことになったハチワンダイバーこと菅田。
次に対戦する真剣師は河川敷に住まうホームレス、「二こ神」。
男達が人生と誇りをかけて挑む勝負。その報酬とは!
アキバの受け師の「オッパイを揉むこと」である!!
いやあ、素晴らしく面白いな!
大の男二人が、実に真剣に「オレが勝ったらこの娘のオッパイを揉む」と宣言。金も、人間としての誇りも、それまでの人生もすべてを超えて「オッパイを揉む」と。
「それの一体どこが真剣なの?」と当惑するアキバの受け師を他所に、盤面に向かう二人の表情はまさに「勝負師」、一切の妥協を許さない真剣そのもの。揉まれる本人の意志を置いてけぼりにしたままに。
二こ神さんとハチワンダイバー・菅田のやり取りが実に素晴らしい。勝負の前のやり取りも素晴らしいですが、勝負が決した後の
「さあ! 揉め!」
「やっぱり揉めません!」
「お前も真剣師なら揉まなきゃダメだ!」
「将棋に全てを賭けてきた自分は女の人のおっぱいをもんだことがありません。だから今回だけ揉ませてください!」
「そうだったか……なら、揉んじゃイカン。揉むなよ!」
「え???」
「お前は揉んだら将棋が弱くなる」
「そんなバカな」
「代わりに俺の戦術を……」
「そんなのいりません」
の流れとか素晴らし過ぎます。直線的なコマ割り、そして短く切られた吹き出しの連続が、これらの流れが実に良いテンポと勢いを与えております。うーん、本当に巧いなあ。
勝負の熱さ・緊張感と同居している絶妙のバカさ加減のバランスもまた素晴らしい。
そして、次の対戦相手は漫画家。負ければ将棋を諦めて自分のアシスタントになれという相手に対し、勝てば漫画の主人公を自分にしろ、と応じるハチワンダイバー。
負けた方の人生が大きく変わる、文字通り人生を賭けた勝負が始まる!
というところで、次巻も全く目が離せませんな。
若き日の二こ神さんを描いた書き下ろしオマケ漫画がまた泣かせます。
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