若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』3巻

デトロイト・メタル・シティ 3 (ジェッツコミックス)

デトロイト・メタル・シティ 3 (ジェッツコミックス)

 3巻になっても益々さえ渡るクラウザーさん節。
 2巻で死闘を演じたジャック・イル・ダークの娘を心酔させ、カミュさんと宇宙を賭けて争い、子犬といえども容赦せずにフェラをさせ、大勢の女性信者の目前で空気さえもレイプしてみせるなど、魔王の名にふさわしい兇悪さ。
 そして、ついに始まったデスメタルの祭典「サタニックエンペラー」に参加し、並み居る強豪たちにDMCの洗礼をあたえるのでありました。

 いやー、もうすっかり定型の完成されたギャグとなりましたクラウザーさんの意図と反する周囲の過剰な誤解。「クラウザーさんが○○だー!」「おおー!」と本人置いてけぼりで暴走していくファンの皆さんが大変にバカらしくてステキ。「代官山オシャレファック」「エアレイプ」などの言語感覚がまたイカしております。

 そして「天下一デスメタル武闘会」の様相を呈しているサタニックエンペラーでの死闘。
 フランスのメタルバンド「ポアゾン」とのM男対決、女性だけの「パイパニックチェーンソー」をセクハラで沈めるなど、その戦いがもうどこまでもバカっぽくて―――いや、熾烈極まっており、DMCの恐ろしさを痛感します。

 それにしても女性店員に対して「アワビをくれ」と要求し続けていたり、女性バンド相手に平然と猥褻行為をかますなど静か、しかし凄まじい存在感を示しているカミュさんがおそろしい。