河合克敏『とめはねっ!』1巻
『帯をギュッとね!』『モンキーターン』の河合克敏の最新作は、なんと書道。
主人公・大江縁は帰国子女のくせに茫洋として冴えない男。新入生歓迎のクラブ紹介で見た書道部の揮毫を見て書に興味を持ち、部室を訪れた所を半ば強制的に入部させられてしまう。
その縁が淡い好意を寄せている女生徒・望月結希は柔道部の有望株。ひょんなことで縁に怪我を負わせてしまい、臨時部員として縁の穴をうめるべく書道部の仲間入りをする。
書道、というと些か地味で静かな個人活動というイメージがありますが、個性豊かなキャラクター達が彩る物語は動きがあって実に楽しいのです。
凛としていて真面目で責任感の強い結希。でもどこか隙があったり、字が下手なことにコンプレックスがあったりと可愛らしい面も持ち合わせております。かわいい顔して策謀家の三輪センパイや、強引で押しが強い加茂センパイといった脇役も実に良い味を出しており、物語をいい感じにかき回してくれております。
書道そのものについてはズブの素人だけれど未だ発揮されぬ才能がある縁と、異分野の天才でありながらも徐々に書の魅力に目覚めていく結希。タイプの異なる二つの初心者が奥深い書の道を少しづつ進んで行くという修練と成長の要素。ともに同じ道を相手というライバルとの競争。そしてちょっぴりのラブコメ要素。
青春エンターテイメントの要素をバランス良く含みつつ、書道という一風変わったテーマで包み込んだことにより他にない味わいの文化系青春漫画として成立しております。とても面白いなあ。
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