「コミックエール」創刊号

 芳文社から新創刊となった雑誌。(→公式ブログ
 「男の子のための次世代ガールズコミック」と謳っているだけに、女の子が主人公の作品・恋愛をテーマにした作品が多く、全体的にキュートで華やかな感じ。

  作家陣も芳文社の雑誌では見ない人が結構居て、色々な意味で芳文社っぽくない印象。コンセプト的にも雰囲気的にも双葉社の「コミックハイ!」辺りが近いかも知れません。

 創刊号で掲載された作品の中では、シギサワカヤ「溺れるようにできている。」が個人的には一番良かったかなあ、と。

 相手は社会人、自分は学生、年上の幼なじみとつきあい始めて3ヶ月経った中距離恋愛継続中の女の子の不安と、それと裏表のどうしようもない恋慕の情を描いております。

 白泉社 ジェッツコミックスで出た『方舟の行方』ほど重くないけれど、今回の創刊号に掲載された作品の中では重めの話が雑誌全体の中でも良いアクセントになっていると思います。
 そしてシギサワカヤの描くメガネの女性はとてもいいなあ。

 それから巻頭カラーの須田さぎり「ラブイーブン」
 つきあい始めたばかりのカップルと、校内での「恋愛の平等」を実行する風紀委員長。恋人達の「想い」を妙な機械で吸い出して全生徒に配分しようとするが――

 自分の想いの大きさを周囲に開陳されてしまって顔を真っ赤にする女の子達がえらく可愛いですわ。
 見えないが故に不安だったり素直じゃなかったりする「想い」。それを取り出して見える形にしてしまうという設定が実に上手く機能しているお話でした。なんというか、こう、キュンとしてしまいますな。


 1話まとまっている話が多いので、取り敢えずどんな雑誌かと思っている人にも買いやすい作りとなっております。
 次は8月に出る予定との事なので、このクオリティであれば次号も買ってみようかと思います。