花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』6巻

青山との戦いのあと、仕事も恋も失った田西はボクシングジムに入会。トレーナーを務める耳の不自由な少女 ハナの気をひくために「世界を目指す」などと宣言してしまい、プロコースを選択することに。そのジムで、傷心の韓国旅行の際に知り合ったプロボクサー(勝利無し)の吉良と再会し、それなりにトレーニングを積んでいく。
 そんな中、吉良の次の試合の相手が宿敵・青山が所属する「マンモス」の社員であることが判明。
 吉良の応援に行った田西は、試合会場で青山と再会することになるが―――

 人間の尊厳を賭けて戦って、それでも破れてしまった田西。(→前巻感想
 ボクシングジムに入会しますが、その理由というのも強くなりたいという思いもあるにはあるものの、寧ろハナちゃん目当てという不純な動機。28才無職、人生に迷いまくっておりますが、自分の限界へ日々挑戦している姿はそれなりに充実したもののようであります。
 小学生よりスタミナが無かったり、マンモスと聞いて青山が居ないかビビってしまったりと、非常に情けない田西君ではありますが、寧ろその姿こそが等身大の人間として親近感を覚えます。

 そして青山との意外な形での再会。
 田西の人生を大きく変え、その敗北を何度も夢に繰り返す怨敵と言っても良いその青山との再会は田西にまた一つ大きな衝撃を与えるのでありました。
 ……ううむ、この展開は正直予想外でありました。

 そしてなんだかんだあってハナに「彼氏がいなかったら付き合ってください」と申し出て「いいけど―――」という返事を貰って驚喜する田西。しかし、彼には聞こえていないハナのその後に続く言葉が……ああ、残酷。

 人生に大迷走しながらも、人生を走り続ける田西。
 いろいろとアレな彼ですが、その人生は我が身に照らして見ると共感を覚えるところも多く、応援したくなります。

ボーイズ・オン・ザ・ラン 6 (6)
ボーイズ・オン・ザ・ラン 6 (6)花沢 健吾

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