田倉まひろ『たくらまかん展覧会』

 野外プレイ中のカップルに全裸が乱入してくる「Open Success」
 押しかけ女房系ツンデレお嬢様が登場の「お嬢様3分クッキング」
 没落した富家の坊ちゃんと彼に従うメイドを描いた「ふたつぎぬ」
 婆さんに飼われている猫が弱った婆さんの世話をするために体を売るという「ばっちゃのねこ」
 無表情で無愛想な彼女に告白したあとのHを描く「三白眼の彼女」
 飼っていた兎の魂が妹に乗り移ってしまってバニー姿でHという「Vanshing Bunny」
 トレジャーハンターが忍び込んだ古城で出会ったのは吸血鬼少女、という「偉大なる第一歩」
 ガサツな少女と彼に好きだと言い続けてきた幼なじみを描く「すきスキSCREAMSHOW」

 以上8編を収録。一部エピソードに後日譚の描き下ろしあり。

 デフォルメが強めの可愛いらしい絵柄で、ロリからお姉さんまで幅広いキャラを、ギャグを織り交ぜた明るくポップな話のなかで描いております。基本的にラブラブなシチュエーションで、ウブな娘たちが恥ずかしがりながらエッチ、というのは良いですわね。

 表紙も飾っている「三白眼の彼女」のヒロイン・信藤ゆづの不器用さとか「グッモー」というすっとぼけた挨拶とか、何よりその三白眼とかが可愛らしくて仕方ありません。

 先にも述べた通り全体的に明るいノリですが、突き抜けたバカな話があるのもまたポイントが高いです。
 特に「ばっちゃのねこ」がスゴい。

 寝たきりになってしまっている飼い主のおばあさんのために、躰を売って美味しいものを食べさせようとする猫のネーデルラン。しかし、その仕事はまだ幼い彼女にとって過酷で、やがて地元の男達に捕まってしまい――

 と良い話且つちょっと哀しい調子で物語が進みますが、男達に捕まって輪姦されるネーデルランの前に現れたのは――!!

 素晴らしすぎるバカ展開。しかも更にもう一回ヒネって着地するのだから本当に素晴らしい。思わず吹き出してしまいました。このバカらしさは是非読んで確かめていただきたい。でも、ちょっとネタを下に反転で。

 ネーデルランの前に現れたのは、彼女が稼いだ金で手に入れた健康グッズで健康取り戻したばっちゃ。ムキムキの肉体で男共を粉砕し、感動の再会――
 ――と思いきや、ネーデルランの強烈なパンチがばっちゃの鳩尾に!

「くくくくっ 一体なぜ? って顔をしているなぁ?
 全盛期の貴様を倒す為に 敢えて私は貴様に施しを与えてやったのさ!!
 そろそろ引導を渡してやる!! 死ねぇ!!!」

 襲いかかるネーデルラン! しかしその攻撃は空を切り、見上げた先には「ゴゴゴ」の効果音とともに「…グレェト!!」と呟くばっちゃが! 完。

 うーん、前半との落差(などというレベルの話ではありませんが)が素晴らしすぎます。

 というわけで、エロ的にもギャグ的にもオススメ。特にエロでバカらしい話が好きな人には大変にオススメであります。

たくらまかん展覧会 (セラフィンコミックス)

たくらまかん展覧会 (セラフィンコミックス)