結城心一『ひめなカメナ』2巻

 海の方からやってきたのほほん世間知らず系美少女のひめなと、その姉でランドセル型亀のカメナ。彼女らと自警団と学校の面々が引き起こしたり巻き込まれたりする割と牧歌的で異常なご近所イベントの数々を
描いたコメディ。

 ―――結城心一作品は概要を説明しづらいなあ。何を書いてもあの独特のセンスとカオスを説明しきれない感じが。あとクリーチャー愛。
 というわけで、この2巻も不思議生物への愛が満ちた巻となっております。

 ひめな達が実は海の城の姫候補であり、その姫の座を賭けて他の姫候補から命を狙われている、という設定がカメナの口から語られ、前巻から登場していた砂隠カレイ・ひらめの姉妹やメダイ・ひめだいの姉妹(?)に続き、新たな姫候補として譲頭コサメ・ひさめのコバンザメとノコギリザメ兄妹が登場。兄は硬骨魚類、妹は軟骨魚類。でも兄妹。

 そんな感じで独特のユルくてマニアックなトーンで進んでいく姫候補達の戦い(?)。
 随所に込められた小ネタがおたく心をくすぐります。「空から死体が降ってきました しかも百万体!」とか。
 小ネタで出してくる生物も、ハルキゲニアとかオオグチボヤとか微妙にマニアックな所を突いてきて、本当に結城心一のこういうネタ選定のセンスはとても素晴らしいものがあるなあ。心の端っこをくすぐられる感じ。
 甲羅を脱いだカメナの本体とかも大変にキモくて愉快。それがエマニエル夫人のあの椅子に座ってるとか素晴らしい。

 そういう小ネタの積み重ねで笑わせてくる作品なので、その典故を知っているといろいろと楽しめる作品であります。そういった深い業を持ちながら、さりげなく作品中に投げっぱなしののほほん調で描いている辺りが結城心一作品の魅力でありましょう。

 そう言えば、今月号の「REX」本誌では「ももえ」の担英校長(ヒゲ)がMG100体目ネタで登場していて吹き出しました。
 カメナが裸を見られた時の
「お前の格好があまりにもかわいくていやらしくて直視できない くらい言えんのか」というその前の号に載っていた「かんなぎ」のセリフネタといい、結構マニアックにストライクゾーン狭めなネタで勝負してきますので、そこら辺は合う・合わないがハッキリ分かれるかも知れません。
 もちろん私は大変に好きですが。

ひめなカメナ 2 (2)ひめなカメナ 2 (2)
結城 心一

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