イダタツヒコ『誰かがカッコゥと啼く』1巻
5年生を受け持つことになった小学校教師・作馬美智孝。かれは自らの教え子達によって恐ろしい世界に引きずり込まれていく――
前作『美女で野獣』とは全く趣を異にしたダークファンタジー。『外道の書』『秘密結社アルファー』などの初期作品に近い路線で攻めている本作であります。
作馬を生贄として彼に憑いた異形の「憑きモノ」を喰らう「魔王」を名乗る生徒達。子供の側と大人の側に別れた世界。魔王の目的は何か、世界がこんな風になってしまったのはなぜか、作馬が「特別」である理由は何か。
様々な謎を孕んだまま異常な世界を提示しておいて、話が進むにつれ徐々にその謎が明かされていくという形をとっており、最初は戸惑うものの、この物語の輪郭が分かってくると、より不気味さが増してきます。
クリーチャーの不気味なデザインや、登場人物達の歪んだ表情などが、昏い狂気を孕んだこの世界を静かに盛り上げています。
1巻ラストで明かされるこの世界誕生の秘密。大きな鍵を握るであろうこの世界の卵から孵るのは一体何か。
万人受けする作品ではないと思いますが、エッジの効いたダークな話を読みたい人にはお勧め。
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