植芝理一『謎の彼女X』2巻
相手によだれを舐めさせることで感情と感覚を共有することができる少女・卜部。その彼女と付き合っている少年・椿。よだれを介して伝わる二人の初々しい恋愛を描いたラブコメ第二巻。
いやー、付き合い始めの二人の恋愛の甘酸っぱさ・こそばゆさと、「よだれ」を介したコミュニケーションが生み出す淫靡さの兼ね合いが相変わらず素晴らしい。
いかにも高校生男子らしい悶々とした気持ちを抱える椿。その彼と気持ちを共有して同じく悶々とする卜部。端目には全く感情を伺えずにクールにみえるけれども、実は初心で恥ずかしがり屋で恋愛に対して純粋な卜部。そんな彼女が健全な男子高校生が恋愛対象に対して抱くいろいろとストレートな感情にアテられて密かに赤面、狼狽、恥じらう様子が本当に可愛らしくてくすぐったくてたまりません。
不愛想でクールな卜部さんが時折見せる恥じらいの表情ったら!
例えば、第6話「謎の夏休み」
自室に招かれ普段は卜部が裸で寝ているというベッドを前にして悶々とする椿。卜部がちょっと部屋を留守にした隙にこっそりとそのベッドに身を横たえ、そこに残った彼女の匂いを嗅ぎながら
「同じベッドに俺と卜部が裸で眠る……」
「これから先二人の仲が進展して……そんな日が来るのかな……」
などと悶々としながら眠ってしまう。そんな風にして眠っている彼によだれを舐めさせて、その想いを共有する卜部。そして彼が帰った後
「今日のベッドは―――椿君の匂いがする……」
と言いながら眠り、覚めてみれば
「……椿君の匂いのせいかしら……」
「女の子も……エッチなのね……」
初心な二人の関係のくすぐったさとこれから二人の仲の進展への期待感がもたらす妄想が活写されていて、読んでいると身悶えしてしまいます。
また、この2巻では椿の友人・上野と付き合っている丘が卜部に接近。
同じくつきあい始めたカップルでありながら、少し関係が進んでいる上野・丘のカップルにアテられて一層悶々とし、また互いの関係をより意識することになる椿・卜部のカップル。
じれったくもどこかエロっちい二人の関係は少しづつ進展しているようで、このちょっと奇妙なカップルの恋愛からはまだまだ目が離せません。
巻末には書き下ろしのおまけエピソード第12.5話「謎のニャーン」を収録。
クールな卜部が道ばたで見かけた猫に対してとった行動とは!
……か、可愛い。
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