きづきあきら+サトウナンキ『メガネ×パルフェ!』
1年前に出会った憧れの先輩を探して高校に入ったみさお。「白衣メガネ部」なる怪しげな集団に属するその先憧れの先輩・究太朗から提案された「恋愛実験」を受け入れ被験者となったみさおだが―――
『ヨイコノミライ』『メイド諸君』など、恋愛などの甘やかなテーマに、人間関係の黒さを絡めて描いてくるきづきあきら+サトウナンキコンビが「ガンガンパワード」に連載していた作品。
この作品も露骨ではないものの黒いものが所々に見え隠れしております。
恋愛実験とは端的に言ってしまえば「人為的に作り出した状況によって恋愛を成立させることができるかどうか」というもの。
例えば、楽しい共同作業を二人でさせたり、いわゆる「吊り橋効果」を得られるような状況を作り出して対象者をその中に放り込んだりというようなことをして、二人の間に恋愛感情が芽生えるか否かということを観察するわけですが、みさおと対になる被験者は究太朗ではなく、その弟でみさおと犬猿の仲の欧次朗。
それでも憧れの人と一緒にいたいがために恋愛実験を続けるみさお。
しかし、究太朗は「誰とも一生恋愛する気がないんだ」と言い放つ。
一方、もうひとりの被験者・欧次朗はみさおが気になって仕方がなくなり―――
みさおの自分に対する好意も、欧次朗の気持ちも、実験が二人の関係に及ぼす変化も、何もかも把握した上で、自分を慕う少女と実の弟の関係を手のひらの上で自在に転がす究太朗のドライな姿勢。彼が仕組んだグロテスクな恋愛実験のもとで育まれていくみさおと欧次朗のピュアな恋愛。ここら辺の対比が鮮やかであります。
しかし、その観察者である究太朗も全てを悟った冷血漢、というわけでもない辺りがこの物語のキモでありましょうか。いや、サディスティックな変人であるのは間違いないのですが……。
物語はこの1巻で完結。普通にこのまま話を続けられる場面ではありますが、敢えてこの場面で幕をひいたことにより、この先の人間関係は一体どうなるんだろう、と大変に興味と想像力を掻き立てる終わり方になっております。
- 作者: きづきあきら,サトウナンキ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2007/06/22
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (37件) を見る