入江亜季『群青学舎』2巻
「ニノンの恋」
魔法使いの叔母たちのもとで暮らすちんちくりんの女の子ニノン。
彼女が恋する相手に書きためていた手紙が叔母達のいたずらによって街にばらまかれてしまい―――
「時鐘」
うさぎの死体を埋めるのを老先生に手伝って貰った天然系少女。死体ってはじめて、という彼女が意識する生と死の物語。
「北の十剣」
王弟の反乱によって国を逐われた王女・グゼニアと、王弟の長子・ルーサー。戦乱の中で敵対する二人の想いと、この国の行く末を描いた長編。
「彼の音楽」
音楽が好きでたまらない吹奏楽部の小番君。しかし、どんな楽器を扱ってみても上手く行かない彼は―――
「続 ピンクチョコレート」
1巻で惚れ薬事件が語られた春日とみどりさん。付き合うことになった二人の卒業後の話。
以上の5編の作品に加えて、書き下ろし後日譚も加えた短編集。コミックビーム連載中。
ううむ。
やっぱり、この2巻も読んでいて唸ってしまうくらいに巧い作品が詰まっております。
恋愛モノでしっとりと読ませるかと思えば、戦乱とロマンスの物語を重厚に描いたり、はたまたリリカルで可愛らしい味わいの作品もあったりと、どの作品もテーマも語り口も異なりますが、実に読ませる話ばかり。
「群青学舎」のタイトル通り、人生が未だ熟さぬ青い時期―――青春と言ってしまっても良いかもしれません―――そのかけがえのない人生の一期間、最も感受性の豊かな時を過ごす人々の想いや行動を瑞々しい筆致で描いております。
流行りの絵柄でこそありませんが、そんな事は全く問題にならず、この色気がある線が醸し出す雰囲気、魅力的な表情、説得力のある背景など、「漫画」として溜め息が出てしまうくらいに「いいなあ」と思えるのです。
是非、未読の方がいたら手にとって欲しい作品。
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