きゆづきさとこ『棺担ぎのクロ。懐中旅話』2巻

 身の丈よりも大きな棺を担いで旅を続けるクロ。
 この2巻では旅を始めたばかりの彼女の昔話が語られます。
 旅の歩き方を教えてくれた不思議な「黒い旅人」との出会い。
 その旅に転機を与えた少女・モーとの出会い。
 それらの話の中でクロの旅の目的の片鱗や、彼女が棺を担いで旅をするようになった理由が明らかにされます。
 年の割に落ち着いていて、どこか悟った風のあるクロ。旅を始めたばかりの頃は相応の子供らしさを見せていてた彼女が今のようになったのは旅の経験と、数々の出会いのため。その中で強さと優しさを身につけ、彼女は棺を担いで旅を続けることになったのでありましょう。

 というわけで、彼女の過去と物語の目的が語られたことによりますます深く、そして面白くなってきました。
 クロ以外にも、ニジュクとサンジュの二人の子供らしい無邪気さと純粋さは相変わらず胸がきゅんとするくらい可愛らしいし、コウモリのセンのいい塩梅での不真面目さも、まっすぐな人物達の中にあって良いアクセント。
 時に滑稽さを、時に哀しさを交えながらも、常に静かで優しい語り口で綴られるクロとその同行者達の旅の物語。実にいいですね。

 そして、雰囲気のある絵柄が大変に魅力的な本作。連載時のカラーページが単行本にそのまま収録されているのは本当にうれしい限りです。

棺担ぎのクロ。~懐中旅話 2 (2)棺担ぎのクロ。~懐中旅話 2 (2)
きゆづき さとこ

芳文社 2007-06-27
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