きづきあきら+サトウナンキ『いちごの学校』
元教師の壱吾と、元生徒のくるみの夫婦と、二人の間に生まれた赤ん坊のアオ。
壱吾とくるみのラブラブで幸せな新婚生活が描かれるかと思いきや、きづきあきら+サトウナンキのコンビの作品でありますのでそう甘くはないのでありました。
教え子であるくるみと関係を持ち、彼女を妊娠させて教職を辞した壱吾。くるみもまた学校を辞めて壱吾と一緒になることを選んだわけですが――その選択がなされたことによって壊れてしまった関係・スポイルされた可能性というものもあるわけで、物語はそこを突いてきます。
甘い生活と、この苦さの対比がきづき+サトウ節というべきでありましょう。
壱吾の社会的立場・家族関係、くるみの人間関係、そして普通の学生として生きていくというくるみの未来。それらを捨ててまでくるみが選んだ選択。
子供も生まれて幸せで甘い時間を過ごしている中で、おまえ自身は幸せなのかという壱吾の問いに対して、底知れぬ昏さを湛えた眼差しを送るくるみ。
愛している、だけでは済まされない問題を抱えつつ生きていく三人。
壱吾だけが責めを負うべき話では無いとも感じますし、その選択が正しかったのかどうかも分からない。
しかし、それでも選択の結果としての現在を生きていかなければならない者達の人生というものを考えさせられてしまう結末でありました。
- 作者: きづきあきら,サトウナンキ
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: コミック
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