タイム涼介『あしたの弱音』
昨日取り上げた『アベックパンチ』の前に著者が「コミックビーム」で連載していた作品。
最初はヘタレたツッパリ中学生の主人公・弱音を、女教師・三子が煽るという形繰り広げられるドタバタギャグ漫画だったのが、いつの間にやら弱音が成長し「人生」の悲哀とほんのちょっとの希望を感じさせる青春漫画へと奇跡の変貌を遂げた作品。
この単行本では弱音が成長して青春作品へと変貌していく後半のみを収録。
具体的には弱音がチョンマゲ頭になった第32回から収録。
中学校の屋上に住み着き、自給自足の生活を送る弱音。
未来の見えないまま友人達と馬鹿をやらかしたり、性欲に悶々としたり、住処を守るために戦ったり。
青春のただ中を駆け抜ける弱音が口にするシニカルでどこか滑稽味を帯びた自信について言葉は「アベックパンチ」に通じるリリシズムが横溢しております。
馬鹿で無茶苦茶な行動をする弱音達。しかし、その生きることに対する真摯さがギャグのばかばかしさと青春物語としての清涼感を素晴らしいバランスでつなげております。
最初はちんちくりんだった弱音も、物語の終わりにはチョンマゲ頭のままでも、傷だらけでも、りりしい姿に。それもこの作品が辿った軌跡を象徴していていいなあ、と単行本で通して読むとしみじみ思います。
- 作者: タイム涼介
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/08/25
- メディア: コミック
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