吉富昭仁『BLUE DROP』1巻

 突然現れた謎の美少女と、彼女に不自然なまでにSEXすることを要求される少年・ショータ。
 一週間以内に性交することを強制された二人ですが、色々と難しい問題が……。
 『EAT-MAN』の吉富昭仁が紡ぐ、倒錯した性に満ちたSFストーリー。

 というわけで、「チャンピオンRED」の三大おちんちん漫画の一つ(他の二つは「ヘクセンリッター」と「アキハバラ無法街」ということで)であるところの「BLUE DROP」がついに単行本化。
 性転換少年やら女装少年やら男同士・女同士のアレが満載で非常に倒錯度の高い作品であります。

 主人公の許に現れた美少女の正体は、地球を侵略している異星人"アルメ"によって女の子に改造されてしまった親友のケンゾーなのでしたが、体は男と女でも、元々同性である親友とのSEXに踏み切れないでいる二人。

 しかし、二人で子作りをしないとアルメに始末されてしまうワケで――と、お互いにドキドキしながらも最後の一線を踏み越えられない二人が描かれております。
 ここら辺の葛藤はTSモノの醍醐味の一つではありますが、あの手この手でショータをその気にさせようと誘惑するケンゾーがちと突き抜けております。

 「お前の好みの女が分からなかったから、俺の好みの女を演じるしかなかった」と語るケンゾー。その好みの女というのが、「自分の足の指をしゃぶる」であったり「自ら喉に指を突っ込んで吐く」だったりともの凄くマニアック。ドキドキするんだか、常人には何だかもうさっぱり分かりません。が、とにかく凄いマニアックな性癖だというのはイヤというほど伝わってきます。

 他にもアルメ達がハードにレズっていたり、アルメに女を奪われた地球の男達が男同士で絡み合っていたりと、アブノーマルな性がこれでもか、と描かれております。女装したショータがおちんちん弄られまくったり。

 兎に角、二人がSEXに及ぶために色々試みているうちに、幼なじみのコトコや、ショータを慕っていた後輩のシンイチらを巻き込んで、なぜかショータは女装してケンゾーとともに女子校に入学することになってしまいます。いやもう、色々カオスです。おつかれちんちーん。

 しかし、文明の発達の中で女性しか存在しなくなり、女同士で繁殖する術を得たアルメ、その自然な繁殖のために地球の男を使って実験を行っており、その犠牲者がケンゾーであるなどSF的背景はきちんと設定されております。1巻の時点ではあまりに変態的な性が横溢しているため、どうしてもそのインパクトのある方に目がいってしまいがちですがアルメ達の会話などから結構ハードなバックグラウンドがあることは読み取れます。この変態的性にまみれた展開からどう物語が展開していくか、非常に興味をそそられます。
 重要人物の死も描かれておりますし。

 しかし、まあ、雑誌連載を読んでいたときも、毎回そのマニアックさやインパクトに度肝を抜かれておりましたが、単行本でまとめて読むとその詰め込まれた倒錯っぷりにクラクラきます。うーん、素晴らしい。
 最初に「RED」誌上でこの作品を見たとき、あの吉富昭仁が?! と仰天したものですが、『EAT-MAN』でたまに挟まれていたギャグのノリとかを考えると、こういう素養のある人だったのだなあ、と納得したりも。

BLUE DROP-天使の僕ら 1 (1) (チャンピオンREDコミックス)BLUE DROP-天使の僕ら 1 (1) (チャンピオンREDコミックス)
吉富 昭仁

秋田書店 2007-09-20
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