熊倉隆敏『もっけ』7巻

 アニメももうすぐ始まる「もっけ」も巻を重ねてもう7巻目。
 しかし、アニメは何だか不安になるキャラデザであります。
 動いたらまた違う、と思いたいところではありますが――。

 7巻には以下の5編を収録。

・「ソラバヤシ」
 静流の高校の外れにある山から聞こえてくるる音楽の怪。そこにある小屋に入り浸る音楽好きの女生徒と、楽しげに彼女に戯れるモノを見つけた静流は――

・「ヌッペッポウ」
 御崎さんの前に時折現れる肉塊のようなモノ。それを「可愛らしい」と評する静流に対して、御崎さんは「青白い屍肉に見える」と語る。御崎さんの過去が垣間見える一編。

・「テオイモノ」
 柔道の昇段試験を受けた瑞生。先輩の手加減によって合格となってしまったが、そのことに瑞生は納得できず――

・「ノデッポウ」
 高校で新しい友達が出来た静流。しかし、彼女に憑いて障りをなすモノを見てしまい、苦悩した末に自分が「見た」ということを彼女に伝えてしまう。

・「バケジゾウ」
  壊されたり盗まれたりしている地蔵を芙美とともに見て回ることになった瑞生。熱心に活動する芙美に従っていた瑞生だが、守られることも壊されることも別にどうでも良い、と語る地蔵の声を聞く。そんな中、その地蔵を盗もうとする不心得者が現れ――

 静流と同じ「モノが見える」という見鬼の才を持ちながら、その性格・物事のとらえ方は正反対な御崎さん。その峻険な性格から過去に何か原因があるとは思っておりましたが、想像していたのよりずっとハードな体験でありました。
 「ヌッペッポウ」でそのトラウマと向き合う機会が与えられましたが、「弱さを克服する」と、より孤高であることを選択した彼女。

 失敗・不幸の原因を自分の弱さに求め、それを他人との協力ではなく、あくまで自分自身の「個」としての完成・強さを追求することで克服しようとする御崎さん。
 ある種の気高ささえ感じられる御崎さんですが、その姿はどこか痛ましくもあります。そんな彼女の心静流はを開くことが出来るのでありましょうか。

 どうでも良いですが、自分はこの御崎さんのようなタイプの女性キャラにとても弱いなあ……。

 静流と瑞生、仲の良かった姉妹は離れて生活するようになり、それぞれの人生の中で迷い、悩みながら生きております。大人でもない、子供でもない、そんな「境界」にある悩み多き年頃だからこそ、「妖怪」が登場してくるのでありましょう。

もっけ(7) (アフタヌーンKC)

もっけ(7) (アフタヌーンKC)