東雲太郎『キミキス various heroines』2巻

 2巻のヒロインは、サッカー好きの元気少女、咲野明日夏。さっぱりとした気性が魅力的であります。

 咲野さんのサッカーの練習に付き合うことで深まって行く主人公と咲野さんの仲。。
 そのキスはスポーツドリンクのストローの間接キスから始まります。
 やがてサッカーのコーチだけではなく、恋のコーチも始めるようになるのでありました。

 1巻の摩央姉は「疎遠になっていた幼なじみ」という、かつて親しかった相手と再び距離を縮める話でありました。そのため過去の親しさと現在の距離感が交錯して「いきなり膝小僧へのキス」などのアクロバティックな展開を生み出しておりました。

 それに対し咲野さんとの恋愛はまっとうに段階を踏んだお付き合い。
 自分の「女の子」に無頓着な咲野さんにドキドキしながら距離を詰めていく主人公と、段々自分の心のありように気づいて行く咲野さん、二人の関係がなんともこそばゆく描かれております。

 が、それで終わったら「キミキス」では無いのであります。

 サッカーで鍛えられたしなやかな足(スパッツ装備)、女の子であることに頓着しない動作が生み出すチラリズム、練習中の体の密着、スクール水着、アイスを舐める唇、どこをとっても描写が艶めかしいことこの上なし。何でこんなに色っぽいのか!

 そして極めつけは温泉の話。
 温泉の中で咲野さんの痛めた脚をマッサージしながら、やがてその脚に口づけ。ピクン、と反応する咲野さんの表情が色っぽい。
 そして温泉から上がって抱き合う二人。浴衣の裾を割って膝を入れてるとか、「れるん」「ビクン」「カクカク」といった擬音が何とも淫靡であります。
 これはもう凡百のエロ漫画よりもエロっちいと言っても過言ではありますまい。
 ――あとがきの下にある「枕」「フロアライト」があるイラストはやっぱりこのあとの展開なんでありましょうか。ドキドキ。

 そんな艶めかしい描写をたっぷり盛り込みながら、物語はあくまで甘やかでくすぐったいような純愛。どれも非常な高レベルで男の子向け恋愛モノとして一つの究極と言っても良いのではありますまいか。


キミキス 2―various heroines (ジェッツコミックス)

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