二ノ瀬泰徳『魔女の騎士 ヘクセン=リッター』

魔女の騎士―ヘクセン=リッター (チャンピオンREDコミックス)

魔女の騎士―ヘクセン=リッター (チャンピオンREDコミックス)

 濃い作品が目白押しの「チャンピオンRED」掲載作の中でも、ある意味最も狂っていた作品が遂に単行本化。
 とにかく、変態度と倒錯度との高さでは他の追随を許しません。
 表紙を見ただけでもその片鱗は伝わるかと。


 ヒロイン(?)のコーディはいじめられ体質の女装美少年。サドっ気の強い魔女 ピーンセン・オーに仕える「魔女の騎士(ヘクセン・リッター)」としての彼の受難と、主従の絆を描くファンタジー

 ……なのですが、主人公が「女装少年」という時点で既に倒錯しております。


 しかし、それよりも何よりも。
 とにかく触手。
 「この触手がすごい! 2008一般誌版」で間違いなく1位を取れる触手描写。
 コーディを、ピーンを、その他登場するキャラ達をとにかく嬲りたおす触手の群れ。それを汁気たっぷりにねちっこく描いております。
 植物系のものから動物・海産物系、果てはメカ系まで、様々な種類の触手が登場。


「あ、ここの触手はおっぱいにしか興味がないタイプのやつです」
「違うんですよ この場合触手は口を責めてはいけないんです」
「そうするとこの触手の持つ『意志』が感じられなくなるんですよ そんな触手ただのぬるぬるしたヒモだっ!!」
 ――と、後書きでも熱く語られているように「触手」への愛、もしくは執念に溢れております。


 そんな触手達に胸を、股間を、体中を犯し尽くされて羞恥と快楽に飲まれる女装少年のコーディ君と、それを楽しげに見ているピーン様。
 触手に嬲られる男の子ってマニアックだよなあ。しかも女装だしなあ。
 あっぱれな倒錯っぷりと変態っぷりであります。女装少年と触手の群れが生み出すエクスタシー。


 そんなこだわりの触手描写がとにかく目をひく本作ですが、孤独な強者ピーンと、その心を動かしていくコーディ、というテーマも中々しっかりと描かれております。変態性が強くてどうしても霞みますが。魔法や都市などの世界観も実は王道だったり。触手分が強すぎて霞みますが。


 ファンタジーの極北に狂い咲く異形の花、とでも言いましょうか。この突き抜けた描写と変態性はちょっと必見。
 1巻完結の本作ですが、次回作にどんなすごいものを描いてくるのか、非常に楽しみです。今作以上に突き抜けた作品が見たいなあ。
 しかも、こんな作品を書いているにも関わらず、ペンネームでなくて実名というのもまた凄い。


 ちなみに、今月の「チャンピオンRED」にも著者 二ノ瀬泰徳先生のインタビューが載っておりますが、こちらも凄いことになっていて必見。次回作への期待が弥が上にも高まります。詳しい事は「おふらいんver2」様が書いてらっしゃるので以下にリンクを。


 ・チャンピオンREDの『魔女の騎士』作者のインタビュー凄すぎおふらいんver2