木々津克久『フランケン・ふらん』1巻

フランケン・ふらん 1 (チャンピオンREDコミックス)

フランケン・ふらん 1 (チャンピオンREDコミックス)

 あらゆる不可能を可能にする彼女の卓越した外科医療技術を持ったつぎはぎの美少女 ふらん。
 死者の復活、望んだ肉体への改造など、様々な望みを持った人々が彼女の許を訪れ、それらの願いに見事に応えるフランのメスですが、結末は果たして本人達が望んだものになるのか、それとも……。

 人々の願いに応えて、喜々として、そして簡単に肉体を弄るふらんちゃん。それは病気を治すための手術――などという生易しいものではなく、死者と生者の融合や、人の規格から外れてしまう程の肉体改造、生首だけの蘇生など、神をも畏れぬ凄まじいもの。

 基本的には良かれと思って手術を請け負っているふらんですが、好奇心と探求心故に色々と大変なことになっております。
 技術は提供するもののその結果には関知せず、本人達の望む状況にしてあげたのだからきっと幸せででしょうね〜、と素で満足しているふらんと、施術された当人達のその後のギャップが大変に楽しい。

 そんな規格外のふらんですが、腕を増やして術式に当たったり、人の依頼に善意でのっかっておきながら自分の探求心を満たしていたり、ビジュアル的にもキャラクター的にも何ともキュートです。

 各エピソードに登場する脇役達(被験体?)もインパクト満点でまたステキ。
 芋虫の体に人間の頭の少女、犬人間、生首少女、等々。
 特にEp.7に登場する生首少女がビジュアル的にヤバイです。ヤバイのに可愛いのだから困ってしまいます。でもヤバイ。首のしたに生やした指でちょこちょこ歩いて「ギュウウウウ」と鳴くのだから大変だ。笑っていいのか、愛でていいのか、怖れていいのか判断に迷いますが、多分コレは可愛い。


 脳味噌を取り出して移植したり、事故でぐしゃぐしゃになった肉体の再生を図ったりと、グロめな描写が盛りだくさんですが、倫理観を超越した場所にあるふらんの善意と探求心からあっけらかんと明るく描かれていています。恐怖とグロと、タブーを易々と乗り越える明るさ。
 うーん、このノリは相当に素晴らしい。