原作:松本真 作画:ネツマイカ『カプレカ』1巻

カプレカ 01 (CR COMICS)

カプレカ 01 (CR COMICS)

 背負った借金のために望まぬ仕事をする少女達――

 などというと些か淫靡な臭いがしないでも無いですが、別にそういうお話ではありません。

 4兆円を超す借金を抱える羽乃と優奈。彼女たちはその借金を返すため、謎の水晶体「心臓」に魅入られ「罪人」という怪物になってしまった者達との戦いに身を投じることに。
 秘密組織によって改造された二人は、キスをすることで超人的な力を持つ美女「カプレカ」に変身する力が!

 と、「女の子同士のキスで変身」という設定や、「4兆円」という現実感から遠く離れた数字と、二人の絵に描いた様なつましい生活など、デフォルメの効いたギャグかと思いきや、羽乃と優奈の二人のヒロインが求めるのは消された記憶を取り戻すことだったり、事件に関わった人間はその記憶を消されてしまうため、自分達を覚えている人間が居ないという世界との断絶と孤独の中、深く結びつきを求める二人だったりと、芯の部分はなかなかにシリアス。断片的に見える二人の過去も結構ハードであったのが伺えます。

 そういったものを孕みつつ、活動的な羽乃と無口な優奈というタイプの異なる美少女二人の友情をコメディタッチで描きながら表面上は結構明るく物語は進行。「カプレカ」という存在も何やら謎めいており、物語が進んでいくに連れ、現在の明るさがどうなっていくのか、という点には興味があります。