「コミックリュウ」08年3月号

月刊 COMIC (コミック) リュウ 2008年 03月号 [雑誌]

月刊 COMIC (コミック) リュウ 2008年 03月号 [雑誌]

石黒正数ネムルバカ」最終話:ゲンキデネ

 自分に用意された新しい道を歩むことを選択した先輩と、彼女との別れを迎える後輩。引っ越しの荷物をまとめる先輩と、それを手伝う後輩の別れのシーンがどうしようもなくいい。今までバカをやってきた二人のうち、片方がその心地よい場所を巣立つ選択をしたとき、残るものと巣立つもの、それぞれの胸に去来するいろんなものを、それまでの二人の生活の延長線上に、しかしたまらない切なさと共に描いています。
 そして、新しい道を選んだ先輩が晴れの舞台、後輩の目の前でぶちかました事件。単行本派を待っている方も多いと思うので詳述しませんが、ああ、これは本当に素晴らしい。ものすごく青いんだけれど、ものすごく胸に迫る。グッと来ます。
 ううむ、本当に素晴らしい作品でした。3月の単行本でまとめて読めるのがまた楽しみです。

大野ツトム「大怪獣殺し屋」

 第2回龍神賞銀賞受賞作。「龍」という奇妙な大型生物を狩ることが仕事の保健所職員と、彼を付けねらう少女暗殺者の物語。どこかすっとぼけた世界設定に、ひょうげたキャラクター達の行動、見応えのあるアクション、オリジナリティ溢れる「龍」の造形などなど、大変に楽しいお話でした。龍神賞出身の作家さん達は本当に次の作品が読みたくなる人たちばかりでいつも楽しみであります。

坂木原レム「モンスターキネマトグラフ 番外編」

 本編から時が経ち、マミヤさんもナカジマさんもすっかり年をとり、クミちゃんも大人に。そして訪れたのはコミケ会場で――。
 いやー、なんでこうこの人はいい話とずっこけた設定をここまで上手く融合させてしまえるのだろう、と感心します。
 きっと次の単行本も出ると思うのですが、この話も「モンスターキネマトグラフ」の単行本に入れて欲しかったなァ、とも思うのです。



 20代後半〜30代に親和性の高い作家を揃えつつ、楽しみな新人さんの連載・読み切りをたくさん載せてくれる「リュウ」はいい雑誌だなあ、と思うのです。