島本和彦『アオイホノオ』1巻
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/02/05
- メディア: コミック
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1980年代初頭、漫画・アニメの業界に新しい才能達が台頭し始めた時代。そんな時代の熱気を受け、自らも芸大に通いながら漫画家を志す青年・焔燃の姿を描く島本和彦先生の自伝的作品。
漫画家を志しながら未だ自分の作品をものすことができないでいる焔は、あだち充や、高橋留美子、細野不二彦といった既に連載を持ち始めた作家達の新しい作品を目にして衝撃を覚えたり、同じ大学で学ぶ庵野秀明らの作品・創作への姿勢に打ちのめされたり。最初は上からの目線でそれらを見ていた彼も、同じ時代の熱気の中で輝きの片鱗を見せる才能達の中で焦り、悩みながら徐々に自分の漫画に形を与えていくことに。所謂「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」を抱えながら成長していく一人の青年の物語となっています。
『燃えよペン』では勢いと熱血の漫画家としてキャラが確立し、既に「漫画」を己の流儀で語り得る「炎尾燃」が登場しましたが、こちらの「焔燃」は漫画家を志し、周囲の才能に刺激されつつも、未だ確固たる自分の漫画が描けないでいる存在。
赤い炎を後に引き熱気噴き出ししやってくる炎尾燃の熱さとは趣を異にし、若さ故の青さをたっぷりと持ちながら、若者でなくては持ち得ない高い熱を帯びた焔燃はまさに「青い炎」を燃やしております。
ここから焔がどのように自分の作品を作り上げていくのか、というのも勿論楽しみですし、この漫画・アニメに新しい才能が出てきた時代と、その熱気を作者がどのように受け止めたのか、そしてそれをどのように描いていくのか、というのも非常に興味深いところであります。