杉村麦太『アキハバラ無法街』

アキハバラ無法街―Gun maid (チャンピオンREDコミックス)

アキハバラ無法街―Gun maid (チャンピオンREDコミックス)

 20XX年、荒廃した無法の街となっているアキハバラ。過去のオタク文化が継承されている旧市街に対して、金と権力でそれを乗っ取ろうとする新市街。優しく非力なオタクの街を守るため、女装メイド少年・くるりは銃を取って立ち上がる――

 近未来の秋葉原を舞台に展開するガンアクション&バイオレンス! 機械化戦闘メイド、バイオハザードによってクリーチャー化したコギャル、無人兵器等身大フィギュアなどなど、バカバカしくもイカス敵を相手に大まじめに展開するスピード感溢れる戦闘描写がまずとっても魅力的。特に「チョベリバッ!」とか言っているヤマンバ・バンデッツの皆さんは実にいい敵役であります。
 また、ヒロイン(?)のくるりは女装少年だし、その彼がことある毎に股間を責められているし、彼の同僚の雪緒さんは強制豊胸手術を施されてしまうし、といったニッチな性癖を刺激する少々の変態性や、随所にみられるマニアック且つシャレの効いた道具立てに思わずニヤリとさせられること間違いなし。

 しかし、物語の芯には、余所では生きられない者達を受け入れてくれるはぐれ者達の拠り所、そこに住む力なき者達を守るために立ち上がるヒーロー(ヒロイン?)というオーソドックスながらも力強い背骨が通っております。それを秋葉原的要素で包み込んで、アクションあり、笑いあり、涙ありの、娯楽作品かくあるべしという面白さを詰め込んだ作品として仕上げております。とてもオススメ。秋葉原を知っている人には更にオススメ。

 1巻完結の作品ではありますが、物語的にはまだまだ展開は出来る余地を残しておりますし、続きが読みたいなあ、と思います。単行本が売れたら続きが連載されないかしら……。