アントンシク『ガゴゼ』4巻

ガゴゼ 第4巻 (バーズコミックス)

ガゴゼ 第4巻 (バーズコミックス)

 力を失い放浪を続けるガゴゼと、彼と各地に散った彼の妖気を追う陰陽師・有盛。
 己の妖気を受けた化け物達との戦いの中で、相変わらずのどう猛さの中に少しずつ変化の兆しを見せるガゴゼ。一方、有盛の目的を知った青龍は式神という存在でありながら彼から離反し、ガゴゼに有盛への復讐をそそのかす――

 謎めいていた有盛の行動と仮面の下の素顔が明らかになり、ガゴゼの出自に対する手がかりが示されるなど、様々な謎が少しずつ明かされ始めた第4巻。
 「カシリサマ」と有盛が仮面の下に隠した異形の関係、さらにそこに絡む十二神将達の思惑。大鬼ガゴゼの出自にまつわる物語と、その彼の力の源。
 丁寧に張り巡らされた伏線が少しずつ効果を発揮していく様、それを描く力強い筆にゾクゾク来ます。憎悪に燃えるガゴゼ、それをそそのかす青龍の薄笑い、全てを覆い隠す有盛の冷たい表情。登場人物達の表情の素晴らしいこと!

 目的達成のために不穏な気配をより強く漂わせる有盛と、人間に多少は狎れたように見えても禍々しさを強く残し彼に復讐を誓うガゴゼ。それを利用する青龍。そして、カシリサマとは一体何者なのか。本人すら覚えていないガゴゼの過去とは。

 多くの登場人物達の思惑と数多くの謎が絡み合い、ますます面白くなってまいりました。とてもオススメの一作。