クリストフ・クリタ『冒険野郎伝説 アヴァンチュリエ』

冒険野郎伝説 アヴァンチュリエ (BEAM COMIX)

冒険野郎伝説 アヴァンチュリエ (BEAM COMIX)

  • 誘蛾灯のように飛行機を引き寄せる「ロストハーバー」に捕まった二人の飛行機乗り。そこに巣食う盗賊団から脱出を試みる二人だが――「ブラッディー・マンデー」
  • 大国と戦争を続ける要塞都市。ゲーム感覚で戦場にかり出される子供達と、そこを訪れた医師が目にした戦争の結末は――「おもちゃのマーチ」
  • 飛行機事故によって無人島に不時着した三人の男女。何故か記憶を失っている彼らは、見たこともない不思議な生物が数多く生息するその島での生活を始めるが――「悪魔の楽園」
  • 逃亡中の男が雪の中たどり着いた一軒家。そこに掛けられた一幅の美人画に引き込まれた男は逃る羽目になった事件を追体験する――「北京2079」
  • 軍の新造戦艦を奪ったバイキング一家。軍を相手に戦う一家と、バイキングになることを嫌って飛び出した長男は果たしてわかり合えるのか――「バイキング エリクソン一家」
  • 金山を求めて未開の地に踏み入った男。そこで物質文明とは全く異なる精神文明とでも言うべき文明を発達させた部族と出会ったことで金山を諦めたかに思えたが――「黒い山岳」
  • 大食い王と美食王、二人のグルメ王の兄弟が争う国境を訪れた旅人。何でも願いが叶うという木の実をそれぞれの王に献上すると――「グルマン大戦争
  • 世界の果てを目指して旅立ち消息を絶った父親を探し求めて旅を続ける少年。極北の地で彼が目にしたものとは――「世界の果てを見た男」

 図書館に収められた冒険譚を一つずつ紐解いていく、という形で語られる上記8編の物語を収録。

 欧州と日本で活躍する著者だけに、日本の漫画とは一風異なるデフォルメがされた絵柄ですが、キャラクターが実に表情豊かに、活き活きと動いているのがとても気持ちいいのです。数多く登場するメカのデザインも、ちょっとレトロな未来感、と言った感じのユニークで魅力的なものが溢れております。

 そして空想科学冒険譚という言葉がピッタリのドキドキあり、謎あり、活劇ありの物語には胸躍らされる物があり、どの話も最後にピリッと意外な結末が効いているのも、ああ巧いなあ、と感心するばかりであります。

 個人的には第1話「ブラック・マンデー」の道具立てとか、ドラマが一番好みでした。