カトウハルアキ『ヒャッコ』3巻

漫画 FlexComixブラッド

ヒャッコ 3 (Flex Comix)

ヒャッコ 3 (Flex Comix)

　カトウハルアキ先生はキャラクターキャラクターの立たせ方、動かし方が実に巧みであることだなあ。10人を越えるキャラ達を、ほんのちょっとした仕草や佇まい、台詞のやりとり一つで遺憾なくそのキャラの個性を発揮させてしまうのだからとても凄い。
　21コメ、火継を案内するエピソードや、23コメのプール掃除のエピソードなんか、主要キャラが全員登場していて、それぞれほんの数コマ程度の登場にも関わらず、そのキャラらしさが迸っていてなんだかもう、読んでいてとても楽しくて嬉しくて仕方がありません。

　というわけで。
　アニメ化決定の帯もまぶしい『ヒャッコ』第3巻。この3巻ではまず狐と鬼百合、二人の新キャラが登場し、虎子のちょっとワケありな家庭事情に絡んだエピソードが展開されます。普段は台風の目として周囲をかき回し、物語の中心にいつも存在する虎子というキャラクターを掘り下げ、今後の物語の一つの鍵となりそうなお話。愉快な学園生活を描く本作ですが、この設定は物語の今後にも影響する背骨となりうるんじゃないでしょうか。
　そして元気で明るいおバカな虎子が見せるいつもとは違った表情、初めてみせる表情が彼女のキャラクターをより一層魅力的なものにしております。そしてそんな虎子に対して、形は違うけれども友人達が見せるそれぞれの気遣いがまた実にいいのです。やるなあ。

　そして更なる新登場のキャラはロリっ娘でボクっ娘の火継。飛び級の天才少女ですが、驚きやすくて可笑しがり屋で、他のキャラの行動に対する反応がいちいち可愛らしい。年齢も設定も異色な彼女が今後他のキャラとどう絡んでいくのか楽しみです。

　キャラクター達が回を追う毎にますます魅力的になっています。いやー、本当に毎回毎回楽しくて仕方がありません。
　私的に今一押しの作品です。