きづきあきら+サトウナンキ『まんまんちゃん、あん。』2巻

まんまんちゃん、あん。 第2巻 (バーズコミックス)

まんまんちゃん、あん。 第2巻 (バーズコミックス)

 寺に嫁いだものの、事故で夫の信玄に先立たれ相続の中心人物となってしまった女の子・めぐり。彼女=寺という利権を巡って僧侶達の、檀家の、男と女の、様々な人々の様々な欲望が絡みあい、後継者争いは徐々に進行。決断を迫られるめぐりは――


 檀家代表が後継者候補として送り込んできた僧侶 慈恩の登場により、静かに、しかし確実に激化する後継者争い。色と欲とエゴの渦巻くこの争いの中心にいるめぐりは、人の悪意を知らないかのような明るく健気なみんなに愛される少女。そんな彼女の明るさを愛し、引け目を感じつつも、それでも自分たちのエゴを押しつけずには居られない人々。めぐりもまた周囲の人々の状況が分かっているだけに、そして亡き夫 信玄への思慕があるために決断を下すことができずにいるという、寺という閉じた世界の中で展開する窒息しそうな人間関係であります。
 黒々とした煩悩にがんじがらめになりながらも明るさを失わないめぐりは健気で物語の清涼剤であるのですが、健気であるゆえにより一層痛ましくもあります。

 誰を選んでも不幸な人間が出るのは避けられない状況ではありましたが、2巻の終盤にきてよりエグい展開が追加されております。きづき節が炸裂した救われ無さ全開。無垢なめぐりに一手に集中する人々のエゴがとにかく残酷であります。それが外見としては建前を具えているだけに一層痛ましい。
 一体この後、どうなってしまうのかしら……と目が離せません。