久正人『ジャバウォッキー』5巻

ジャバウォッキー(5) (マガジンZKC)

ジャバウォッキー(5) (マガジンZKC)

 謎の人物「サックスマン」の指導の下「恐竜絶滅」のために準備されていたパリを狙う巨大砲。しかしその真の目的はパリの「人類絶滅」だった! 砲弾の発射にサバタとリリーは間に合うのか!? そしてサックスマンの正体とは!? ――「マッチ&ポンプ」完結編

 一社の海運業者所有船に頻発する舶沈没事故と、それにかかる保険金詐欺の疑惑。事件の背後――いや海底には白鯨「モビーディック」の影が! モビーディックVSイフの城、海中決戦の勝敗や如何に!?――「バック&ディック」

 この5巻も正史の背後で動いていた恐竜人間達の有り得べからざる歴史が実にケレン味たっぷりに描かれております。もう毎巻の感想出書いておりますが、このハッタリとケレン味たっぷりの演出がたまりません。
 人類から地上の支配権取り戻そうと暗躍する「有翼の蛇」教団、その教主の正体、彼等の理念などなどがいちいち心憎いまで元の恐竜の生態に絡めてあって、それにハッタリを効かせた跳躍があって素晴らしく心が躍る描写満載。ユーモアをまぶしながらいちいちキマった台詞回し、実にスマートに張った伏線とその回収、本当にかっこよくてしびれてしまいます。

 サバタ&リリーのコンビも種族の差を超えてお互い憎からず思っていながら、微妙な距離感のままますます息のあった活躍。驚愕のラストランを見せてくれたアングレームや、悪の首領にふさわしい癖のあるキャラとビックリのギミックを披露してくれた「サックスマン」など、人類・恐竜ともに脇役も魅力いっぱい。因縁の深いアロサウルスのジャンゴも再登場し、再び嵐の予感。
 歴史の裏側を格好いい「嘘」で描いたこのユニークで格好いい世界は素晴らしく魅力的であります。