ナヲコ『なずなのねいろ』1巻

なずなのねいろ (1) (リュウコミックス)

なずなのねいろ (1) (リュウコミックス)

 三味線少女・撫菜(なずな)と出会ったギター少年の伊賀は撫菜の弾いた三味線の音色に魅せられ彼女から教えを受ける約束を取り付ける。学校でも三味線部を作ろうと奔走する伊賀だが、撫菜は三味線を弾くことに何やら複雑な想いを抱えているようで伊賀への指導を断ってしまい――

 小さな身体で一見小学生のような撫菜ですが、実は伊賀より一つ年上の高校2年生。気丈な娘かと思いきや人見知りだったりナイーブだったりとなかなかに複雑な女の子であります。
 そんな撫菜は三味線を弾くことに才能はあるものの、迷いや屈折を抱えていて色々と足踏みをしている状態。
 一方、その撫菜に近づく伊賀はバンドをやってるにも関わらず、撫菜の奏でる三味線の音色に惹かれ、その音を出したい! という純な思いを行動に即座移します。

 その伊賀の真っ直ぐな思いと行動力によって三味線に対する自分の思いを再確認する撫菜。この撫菜の三味線に対する想いを中心にドラマは展開。この「三味線」が家族の問題や、自分の目標とかそういった青春の悩みに直結するものとして描かれていて、まだまだ恋愛未満の二人の関係や各人の成長をもひっくるめて濃やかな青春音楽モノとして成立しております。
 繊細で柔らかなタッチも題材に非常に良く寄り添っていて、また「三味線」という珍しい題材も興味深いところです。ちんまい娘さんがカンッ! と力強く三味線を弾くというビジュアルも可愛らしい。

 ひとまず1巻で自分の中の迷いに整理を付けることができた撫菜。やっと動き始めた三味線部がどうなっていくか、撫菜と伊賀の関係は、など今後の展開に期待であります。