木々津克久『フランケン・ふらん』2巻

フランケン・ふらん 2 (チャンピオンREDコミックス)

フランケン・ふらん 2 (チャンピオンREDコミックス)

 科学の発展と人類の幸福のため、メスを振るい続けるふらんちゃん。死さえも乗り越える彼女の外科手術は多くの人々の望みを叶えますが――当人にとって幸せな結果になるかどうかはまた別の話。

 人間らしい感情や欲望によって仕事を依頼してくる人間達と、科学のためという至上目的に則って執刀するふらんちゃん。きっちりと依頼者の要望通りの手術を行いますが、その「科学のため」という目的が人間一般の幸福とか成功とかの概念を超えて純粋で大きいもののため、もたらされる結末は大変な事に。この意識の違いが生み出す結末の凄惨さと、それをぽややんと流すふらんちゃんのギャップが大変に愉快であります。

 そんな感じで依頼をこなしてきたふらんちゃんのもとに現れた少女・ヴェロニカ。ふらんと同じく斑木博士によって造られ、しかし殺人兵器として生まれてきた彼女は人を殺すことは当然のことであり、何がいけないのか教えて欲しい、とふらんに問いかけます。
 それに対して科学の発展と人類の幸福こそが博士の意志であり、その人の幸福のために自分は居るのだ、と答えます。

 人の命の大切さを解く健気な少女、ふらんちゃん! と言いたいところですが――やはり「科学のため」という大命題の前に素敵な結論を用意してくれておりました。いやー、実に筋の通ったふらんちゃんの行動であります。やっぱり人間一般の道徳とかそういった規範からは外れておりますけれども。タブーも彼女の前ではタブーですらなく、ぽややんとそれを踏み越えてしまう姿が大変にユニークでキュートであります。

 ヴェロニカという新レギュラーを迎えてまた厄介な――いや賑やかになったふらんの研究所。今後も彼女たちに関わる人々に幸多からんことを……。