「アフタヌーン」08年10月号

月刊 アフタヌーン 2008年 10月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2008年 10月号 [雑誌]

漆原友紀蟲師」第四十七話:鈴の雫 後編

 最終話。山のヌシに選ばれた女性のエピソード。人と蟲との関わりを描いてきた作品の最後を飾るには象徴的なエピソードでありますが、今までの話がすこし大きくなったような感じでギンコ個人のエピソードや蟲そのものといったことの詳細には最後まで触れず。それもうそういうもの、として読者の想像にゆだねる事を選んだのでありましょう。あんまりクリアになりすぎるのも作品の趣旨と反するでしょうし。本当に最後まで素敵な世界を見せていただきました。

篠房六郎百舌谷さん逆上する」第8話:百舌谷さん掌握する。

 ドM師匠の魂の言葉。いやはや感服しました。感服するのは人としてアレな気がしますが魂が震えたらそれは仕方ない。そして樺島君の弟登場で百舌谷さんが抱える人間関係がまたちょっと複雑化した感じ。自分のことを範とする彼の出現は百舌谷さんをどう変えるのでありましょうか。

岡戸達也「火曜午後9時」「DOLL」「夏をおぼえる」

 いやー。ダイアローグの構成がすごく巧みであるなあ、と。「DOLL」の上滑りする二人の会話が微妙な二人の間柄と気持ちを表現してしまっている辺りとか実に。「夏をおぼえる」の先生との会話と、女友達の会話の差とか。

今井哲也ハックス!」cut.4:アクセス

 成程、今の世ではネットで動画サイトへのアップ、というのも普通にアリになるのですなあ。そっち方面に話が動くとは思っておりませんでした。みよしの妙な味のある作品がどういう反響を呼ぶのか、それとも呼ばないのかこの後の展開が興味深い。そして相変わらず情熱いっぱいで変なみよしがかわいらしいったらありません。実にかわいらしい。

峰浪りょう「TWINKLE LITTLE」(読み切り)

 世界の終わり、と宣告された日に小学生の女の子が家族と過ごす時間を描く。あまり現実感無く最期の日をすごしていたものの、母親や年の離れた姉とのやりとりの中で、普通に迎えるはずだった「大人の自分」にはもうなれないことを自覚していきます。
 最初は耳学問で大人について語っていたものが、心に繋がった感覚として自覚していく様子が読ませます。センチメンタルなだけでないところがまたいいですね。