片山ユキヲ『空色動画』2巻

空色動画(2) (シリウスKC)

空色動画(2) (シリウスKC)

 紆余曲折あって、文化祭に向けて自作アニメを作り始めたジョン・ノンタ・ヤスキチの三人。自らが作った絵が動く、という素朴ながらも鮮烈な感動はまだまだ残しながらも、アニメ制作を通じて強まる人間の絆を描いていく第2巻であります。

 純粋に「楽しい」ことだったアニメ作りは、やがて3人を繋ぐかけがえのないものになっていきま、そのアニメ作りの中で絆を深めあって成長していく3人の行動力と前向きさが実に爽やかで、そして眩しくて。その楽しいという気持ちと情熱が周囲を巻き込み、動かしていく様子はグッと来てしまいます。

 学校側からは問題児達の集まりとみなされ、文化祭への不参加を通達されてしまった3人のクラス。それを覆すためにみんなで行うアニメ作成には「見返してやろう」という意気込みももちろんあるのですが、それ以上にみんな活き活きとアニメを作っていること、そしてみんなが一つの事をやっているという連帯感が前面に出ていて、本当に楽しげで眩しいくらい。
 それに合わせて動き回る彼等が作ったアニメキャラ達の動き、これがまた躍動感があって楽しげで。登場キャラとはまた別種の演出で動くこれら「アニメキャラ」がまた作品にリズムを与えております。

 周囲の人間を動かし、困難も乗り越える「楽しさ」。それを描く本作は実にまっすぐで活き活きとしていて、本当に素敵です。