「アフタヌーン」08年12月号
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 雑誌
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篠房六郎「百舌谷さん逆上する」第10話:百舌谷さん渇望する。
珠美さんにノせられた形で嘘恋話をしているうちに、いつの間にやらそこに自分でも止めようもない本音が混じり始めた百舌谷さん。言葉にすることで過去の色々な感情が形として定着していき、それが彼女の救いとなってようやく素直な明るさを見せるようになった彼女。――しかし、その裏で崩壊の足音は静かに近づいて居るのでありました。百舌谷さんは自分自身の幸福にすら「ツンデレ」として向き合わなければならないのでしょうか。毎回ギャグ描写ははっちゃけてて素晴らしいのですが、その裏側に必ず胃に来るような重さを抱えております。
岡戸達哉「夏をおぼえる」第4話:ラブホ
最終回。色々あって先生とラブホテルに入ることになった主人公。先生の打ち明け話とお別れ。大人なんだけど先生のあんまり大人でない面を垣間見て、何にも起らなかったのだけれど、確かに少年の心に印を刻んだ一時。輝度の強い、でも乾いた余韻が印象的。
岡戸達哉「DoLL」第4話:それは無理です。
先生の家に現れた「同好の士」のおっさん。泉さんへの要求が淡々と、しかしいちいち業の深いことで。3作の中で一番カッ飛んでいるなあ。
野村亮馬「ベントラーベントラー」第4回:世田谷トリプレッツ
外星人によって神隠しに遭った少女が戻ってくる――ではなくて、採取されたコピーが年を経て昔の姿のままもどってきたしまったという。ユニークなお話ですが、結構家族は大変、政府の対応もめんどくさい、と。しかしユルくなあなあで何とか収めてしまうこのおかしみ。すみちゃんとクタムさんの漫才のようなやりとりは楽しいですな。
今井哲也「ハックス!」cut.6:つぎの日のわたし
みよしに興味をもつ女の子が登場。このぎこちない地味子さんが間接的にではありますがちょっとづつみよしに近づいていく様が微笑ましくあります。で、色々としっかりしすぎていて策士扱いされて弄られるコジマ君がかわいらしい。そして毎回毎回全開で楽しいオーラを発揮しているみよしちゃんに癒されます。
都留泰作「ナチュン」第29話:手塚とキビステイク
手塚というハッカーを相棒に世界的ネットバンクへの侵入を果たしたテルナリ。その銀行の暗号の設置者であるドクターKはデュラム教授の弟子であり、テルナリが挑むのもデュラム教授のメッセージを読み解いたからであり、ドクターKとゼルダは関係があり、とここに来てまた伏線が一箇所に収束してきております。
太田モアレ「都市伝説だよ都市子さん」(読切り)
5人を驚かせれば成仏できる、というアパートに現れた女幽霊と同居する主人公。あの手この手で人々を驚かせようとするが――という異種間交流ギャグ。幽霊の都市子さんが様々な都市伝説のパターンに則って人々を驚かせようとするも悉く裏目に出る繰り返しが愉快。それでいて、都市子さんが幽霊となった理由を絡めつつ主人公と心を通わせていく様がくすぐったくも心に沁みるラブストーリーとして明るく成立させているのがお見事。特に、別れの際の都市子さんのかわいらしさが際立っております。
「モーニング2」(すんません、間違ってましたので訂正)「good!アフタヌーン」の連載にも大期待。