宮成樂『晴れのちシンデレラ』1巻

晴れのちシンデレラ 1 (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)

晴れのちシンデレラ 1 (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)

 主人公の春日晴さんはお嬢様学校きっての才媛。「晴姫さま」と呼ばれ、誰からも憧れられる素敵な彼女ですが、実はつい最近まで極貧生活送っていたお嬢様初心者なのでありました。(祖父の油田掘り当てによりお金持ちに)そんなハルさんが「お嬢様」初心者として頑張る様子を描いた4コマ漫画。

 メロンにときめき、夕飯がカレーだと聞けば頬が緩んでしまい、カニと言えばカニカマ、風呂場の溢れるお湯が気になる――そんな貧乏時代に身にしみた生活感を発揮しているのに加え、生活を支えるために身につけた料理や裁縫の技術、そしてお嬢様離れした腕力・体力は相撲大会優勝(賞品目当て)の経験があるほど。
 本人はお嬢様らしくあろう、としているのにどうしても漏れてしまう貧乏時代の習い性と全然そっちを向いていない本人のスペックと性格ですが、周囲はそれを「まあ素敵」としてしまう勘違い、そんな所から生まれる明るい笑いが魅力的。

 とにかく、見た目や周囲の評価は完璧なお嬢様なのに、本人の自覚の有無に関わらず漏れ出す庶民っぷり(というか貧乏性)のギャップが大変に愉快で可愛らしいハルさん。からあげ一つでパァッと笑顔になってしまういじらしさがたまりません。

 ハルさんをライバル視しているのに彼女に惹かれてしまうお嬢様キャラの存在や、ハルさん思いのじいやとメイド、そして弟君の存在など、笑いの中にもほっこりさせるエピソードを挟む暖かな雰囲気も魅力的であります。