「コミックビーム」09年1月号

コミックビーム 2009年 01月号 [雑誌]

長野香子「冬の熱」前編

　内面に様々な思いを抱え込み、狂気じみた執念で夫である画家の絵の完成に尽くす妻と、そんな彼女の思いも知らず自分の仕事に打ちこむ画家の対比、その間に挟まれた門下生の境遇。全てを知っている上で、でもそれも抱え込んで一点に尽くす愛って怖いな、と。「正気ですか」と妻に問う門下生と妻の表情が素晴らしい。

タイム涼介「アベックパンチ」第24話：風呂上がりの新品達。

　強くなっているのにもやもやとした不安が晴れないイサキ。その不安の正体に気付き更に距離が近くなるメバルとイサキ。無骨過ぎて、ど真っ直ぐな二人の恋愛模様ですが、これがものすごく眩しい。二人以上に鈍感なはずのヒラマサの言葉が、本人の意図から外れてこれまたキラキラと輝いております。埃まみれだけれど、こんなに輝いている青春。

唐沢なをき「まんが極道」第33話：ポジティブくん(50)

　50歳を迎えて微妙なしょっぱい仕事しかない漫画家。全てを「なんとかなるか」で流しておりますが――。
　恐ろしい！　脂汗の出る怖さであります。実に恐ろしい！

上野顕太郎「夜は千の目を持つ」第122回：RHYTHM

　漫画のタイトルロゴの数字を抜き出して0から並べていく、という。
　毎回この手のネタはバカバカしさに笑うと同時に、漫画史を縦断する視点と、その資料に唸らされます。