「fellows!」vol.2
Fellows! 2008 DECEMBER volume 2 (BEAM COMIX)
- 作者: 森薫,入江亜季,室井大資
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/12/15
- メディア: コミック
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入江亜季「乱と灰色の世界」
家の中で靴を探す妹と、その靴を隠している兄の攻防からの幕開け。さて、何で靴を? と思っていたら――びっくり、そういうお話なのか! と大変に意表を突かれました。この設定でどんな話になっていくのだろう、と興味津々。
森薫「乙嫁語り」
家具職人と、彼の細工の様子を夢中になっている少年。どうやらこの物語はアミルと周囲の人々、1回ごとに焦点を当てる人物を変えて描いていく形になるようです。「エマ」番外編を一つの時間軸に沿ってやっていくような感じ。
にしても今回もまあ細密な書き込みにため息が出てしまいます。あの彫刻の描写ったら! それを見守る少年ならずとも見入ってしまいますわ。子供達やお義姉さんのやりとりも実に活き活きしていていいですなあ。微笑ましい。そして「毅然と」した対応を取るアミルさん、なんかちょっと変な感性が素敵です。
八十八良「早春賦」第2話:拓
女生徒同士の恋愛実験とそれを目撃した拓。その拓の対応を「大人」と感じちょっとときめきを感じた女生徒のエリは――。
「大人であること」への青春期のそれぞれの思い。憧れと戸惑いがある中で、でもやっぱり女の子は本質的にそういうのに鋭く反応するなあ、と。拓と千代の会話をきっかけに、大人と子供の立場が反転する瞬間がドキリとするくらい鮮やかでした。
室井大資「ブラステッド」第1話:おっかないんだよ
ヤクザの庇護下でクラブのオーナーを務める主人公。不始末の報告を組長へ行った際に、一つ汚れ仕事を任されることに。
裏の世界の浅いところに身を置いていた主人公が見た少し黒い世界。そして彼を待ち受けるのはもっと恐ろしい世界。プロローグの終わりは大変に衝撃的なヒキで、これは一体何でどうなるのだ、と。暗く乾いた空気がまたたまりません。
なかま亜咲「健全ロボ ダイミダラー」第1話:揉め! ダイミダラー出撃!
主人公のエロい行為がエネルギーになるロボットと悪のペンギンたちの戦い!
って、また敵はペンギンなのか! エッチネタのバカらしさとうれしさも健在。
しかし、ネタも絵柄も掲載作品の中で異彩を放っておりますなあ。
鈴木健也「蝋燭姫」第2話:頭が悪いんだ
修道院の粗末な食事を見かねて、姫様のために肉を提供しようと雉を追いかけ回すフルゥ。その忠誠心と健気さは大変なものですが――いかんせん、色々足りていないのがおかしくもあり、可哀想でもあり。修道院内をバタバタと走ったり飛んだり落ちたり、「動き」が楽しいエピソードでありました。
佐野絵里子「為朝二十八騎」第2話:天高く馬肥ゆる秋
郎党と共に馬の稽古をしたり、弓を張ったり。秋の恵みの中で過ごす雌伏の時は明るく健康的ではありますが、武家の人間として時折兆す一抹の寂しさもあり、と。
都への想いとこの地での部下への思いやりでちょっと切ない為朝であります。
長野香子「ノラ猫の恋」第1話:さよなら東京
出て行った父からの手紙が来たことで、東京から青森まで会いに行くことにした少女。なぜかケバい「おネエさま」と行く先が悉く一緒ですが……
ただでさえ複雑な思いを抱えているというのに、更に加速する混乱。あどけなさを残しながらちょと鬱屈している主人公と、強烈な「おネエさま」。果たしてどういう関係になっていくのやら。
しおやてるこ「たまりば」第2話
たっくんを口実に河原にいる妙な青年・ハルオに会いに行く美和。こんなかわいい子が何であんな変なのをー、と思わんでも無いですが、ヘンながらも結構いい人っぽかったり。でもおっぱいで女の子を判断するなよ、と。そして美和のときめき描写がなんとも可愛らしい。
そんなハルオもしかし何か事情があるようで、可愛らしいだけの恋物語ではなさそう。
冨明仁「彼女と彼」第2話:北風と北風
ニアミスを繰り返しまくる「彼女」と「彼」。これは縁があるというべきなのか、それとも無いというべきなのか……。
融通の全く効かない「彼」が可笑しくも格好いいのでありました。