糸杉柾宏『あきそら』1巻

あきそら 1 (チャンピオンREDコミックス)

あきそら 1 (チャンピオンREDコミックス)

 実の姉弟同士で恋をしてしまったアキとソラ、一線を越えてしまったこの二人の禁断の恋愛を中心に、周囲の人間の普通とはちょっと異なる形の恋愛を描いたラブストーリー。

 過激な描写で話題を集めておりますが、近親相姦や同性愛、露出癖など、ノーマルな恋愛から少しはみ出した日陰者の恋に突っ走っているキャラたちから発せられる「どうしていけないの?」という問いが結構切なく重かったり。

 自分たちの行為が世間では認められない事を知った上で「どうしてそれがダメなのか」と悩むソラと、愛し合うことが「どうしていけないことがあろうか」と開き直っているアキ。同じ「どうして」を口にしてもいても、正反対の姿勢が現れていて、その対照が物語を引っ張ります。

 恋愛の快と解を求めていった先が社会的にアウトだったりするわけで、当人達は満たされていてても、どうしても生まれてしまう陰りや後ろめたさ。それを感じつつも切れない関係・やめられない行為、というものをアグレッシブに、マーク無し成年誌と遜色無い過激な描写で追求していて、実にエロエロしく、そしてインモラルであることこの上なし。


 しかしまあ、巻頭の言にしろ、あとがきおまけ漫画にしろ、糸杉先生は色々と大切なものを捨てすぎだと思います。オーイエー。