スエカネクミコ『プリティ・マニア』

プリティ・マニア (ヤングキングコミックス)

プリティ・マニア (ヤングキングコミックス)

 素敵な恋を追い求めるギャルに声をかけて来たイケメン。一目惚れしてしまったギャルですが、イケメンはとんでもないオタクだった!
 それでもカッコよさに惹かれてアタックを続けるギャルと、自分の萌えキャラを彼女に投影して3Dには一切興味のないオタク、全く噛み合わないまま明後日の方向へ突っ走るラブコメ

 ――ラブコメ? いやいやこの作品はそんな甘酸っぱいものではなく、純然たるコメであります。全体から迸る「変」と「バカ」。

 進んでコスプレをし、オッパイを放り出してのお色気攻撃すらも厭わないギャルと、それに全く反応せずひたすらキャラ萌えを突き進むオタク。
 完全に独り相撲というか、別々の土俵に立っているというかそんなまるっきり噛み合わない二人に加えて、オタクの婚約者の女性と、ギャルを狙うもう一人のイケメンまで登場。恋の鞘当て開始かと思いきや――やっぱりこの人達もネジが外れたような変人なのでありました。
 特に恋敵のイケメン、最初はチャラいながらもまともな人だったのにいつの間にかオタク&ホモっぽいキャラに滑落。
 婚約者も高飛車なお嬢様かと思えばいつの間にやらBL好きに。「好き+好き=大好っき」の理論は何だか納得しちゃいましたよ!
 ああ、もう、恋愛物の下地が十二分にありながら、明後日の方向に暴走していくキャラ達に大変笑わせていただきました。

 しかし、これだけぽろりぽろりとおっぱいが放り出されている(男性含む)のに、エロスよりも笑いばかりが出てくることこそがこの作品を端的に表しているといえましょう。

 『成城紅茶館の事情』の絵柄にそぐわない無茶っぷり(褒め言葉)がお好きでしたら是非。