「fellows!」第3号

Fellows! 2009-FEBRUARY volume 3 (BEAM COMIX)

Fellows! 2009-FEBRUARY volume 3 (BEAM COMIX)

福島聡「ロングロングアゴー」其の一:ゴーゴーガール!

 帯の惹句とか、最後に分かった女性の名前とかから見て「八福神」の最終回後の話と見ていいんでしょうね。ちょっとアホの子で無闇に行動力があって表情豊かなヒロインが楽しくて、彼女がどう物語を引っ張っていってくれるか楽しみ。「八福神」と地続きでも結構明るい感じで行くのかしら?
 しかし「八福神」みたいにかっちり構成された話は、連載や単行本ペースで読んでいるとどうしても細部を忘れてしまうので、10巻発売後にもいちどきちんと読み直さないとなー、と思いました。

長野香子「ノラ猫の恋」第2話:自分の心に正直に

 ブランチさん(本名:清)がとてもいいキャラだなあ。お父さんは彼と一体どんな関係なのでしょうか。そしてもう一人お父さんを捜す会社の後輩登場で、それぞれ事情も立場も異なる3人が共同生活、といった感じに。お父さんは一体何しているのか、そして3人はどう関わり合っていくのか、興味津々。
 あと、食事のシーンの描写がとても素敵でした。

森薫乙嫁語り」第三話:騎行

 年増扱いされちゃうアミルさんと、それをきちん気遣いできるカルルク。いやー、愛ある夫婦ですなー。そんないい関係ではありますが、カルルク的には歳の差故忸怩たるものがあるようで、その辺の機微がまた巧いなあ、と。

百名哲「演劇部5分前」第1話:鬼っ子演劇部

 待ってました! の百名先生新連載。お荷物的存在の演劇部に集う部員達の青春をギャグを交えつつ描く、といった感じになっていくんでしょうか。卒業を前にして、ダメながらもかけがえのない居場所と仲間。しっとりとした空気を孕みながらも女の子達のおバカっぷりが台無しにしてしまうのでした。これからどうなる。

入江亜季乱と灰色の世界」第2話:静帰る

 お母様ご帰還。本人も色っぽい素敵な方ですが、使う魔法も大変華やか。しかしなかなかに天然なお方のようで。乱もお母さんのような魔法が使えるみたいですが、靴の魔法はそれとはまたちょっと異質な感じ。
 魔法使いがどういう風に扱われる世界なのか、ちょっとづつ描かれてきていて、そこに絡んでドラマがどう展開していくのかしら。

鈴木健也「蝋燭姫」第3話

 フルゥの姫様へ敬慕というか忠誠心はまるで子犬のそれであることだなあ。フルゥの空回り気味の奮闘っぷりと、姫様の物静かさの対比がユーモラスですが、でも二人の間の信頼関係は増したようで良かったなあ。

八十八良「早春賦」第3話:清

 大人の分別を身につけた新郎新婦と、大人の手前にいる千代子と拓。でもそれぞれに自分の思いに区切りを付けて臨んだハレの日の一幕。しかしまあ、女性は強いなあ。

木静謙二「奉姫」(読切)

 辺境の交易都市に身を置姫様は、剛胆且つ聡明且つ超の付く健啖家。英雄の風ある彼女が密売商人とをあしらい、人食いの「神」退治し、自分の胃袋を満たす様はなかなかに爽快。でもちょっとコマ運びで時系列が細かく前後してちょっと戸惑ってしまったり。

明仁「彼女と彼」第3話:貴方と会った私

 あら、この3話でお終いなのですわね。すごく好きだったので残念。喫茶店のスタッフとか色々面白そうなキャラ揃っていたのになー。1回目と対象を為すような、でもやっぱり偶然の出逢いでの締め。運命ですなあ、と思いつつもショートなら好みなのか、という気もしないでもなく。
 次回作もとても期待しております。

久慈光久「ヴォルフスムント」第1話:リーゼとゲオルグ

 掲載作品の中で今回一番良い意味で裏切られた作品。
 少女と騎士の逃避行、愛のお話かと思いきや、思いっきりエグく救いのない展開に。積み重ねて積み重ねて、どーんと崩してしまいました。こっち側が主役だったのか! 次回以降、どんな人物が出て来て、どうなってしまうのか。ものすごく気になります。


fellows!」、掲載作品もどんどん増えて、感想書くのも大変ですが、それはそれで嬉しい限り。次号はこれまた待望の宮田紘次先生の新連載開始ということで見逃せません。『ききみみ図鑑』の単行本は出ないのかなー。